”大理石といえば高級!”と一般の方からはよく耳にします。
確かにテレビなどで豪邸に訪問というのがあると床や壁面なんかに大理石がふんだんに使ってありますし、高級ホテルなんかでも受付けの所や柱や床なんかに大理石が多く使われていて高級感を醸し出しています。今日はそのことを書いてみます。
建築石材として、おおまかには御影石と大理石の2種類がよく使用されます。
御影石や大理石という名前は、石材名であって、岩石の分類で言いますと、御影石は花崗岩(かこうがん)であり、大理石は結晶質石灰岩という種類になります。
(細かい事を言うともう少し複雑な説明もありますが、今回は省略します。)
成り立ちを簡潔に説明していくと、花崗岩の御影石は溶岩が地下の深い所で冷えて固まってできた石です。
結晶質石灰岩の大理石はその文字の通り、石灰質の地面が押し固まって結晶化してできた石です。
このように、御影石は生成前が溶けて液体であったために、模様としては一定の成分で均一な状態でできます。
大理石は、地面がそのまま押し固まっているので、不均一な模様が生じます。
この不均一な模様こそが大理石独特の美しい模様なわけです。
では本題に入ります。
なぜ大理石は高いと言われるのか、です。
答えは、軟弱さと模様です。
大理石は成り立ちが押し固まってできた石灰質であるために、岩石としては柔らかい部類に入ります。
建築用となると板状にスライスして使いますので、強度の弱さがそのまま破損率の高さになってしまいます。
独特の模様というのも、その模様部分だけが性質が違ったものになっていて、つまり地肌部分と模様部分の性質が違うので、一枚の板状石の中で強い部分と弱い部分が混在していることになります。
成分的にも硬い部類でない上に、模様の部分が異質であるという2重の難儀さを持っているのが大理石なのです。
すごく簡単に例えるなら、肉と脂身の混ざった霜降りの牛肉です。
他方、御影石というのは液体が固形になっていることから簡単に例えると、溶鉱炉でできる鉄です。
データで示してみます。
大理石の主成分は酸化カルシウムで、モース硬度※の分類は3~5。
御影石の主成分は珪酸で、モース硬度の分類は5~7。
(※モース硬度というのは鉱物を1~10までに分類したものでダイヤモンドが10)
(その他:硬貨は約3.5、ナイフの刃は約5.5。大理石はナイフで傷がつきます。)
このことの他に、模様と色合いを合わせる作業によって使えない部分が多く出てくることも関係しています。
流れ模様がある石ですと使う方向を一定に揃えて行かないと、特に壁面などの大きな面を複数の板石材で貼る場合に、一体感の出ていないバラバラのものが出来てしまい、美しい大理石模様が台無しになってしまいます。
模様の位置や方向まで合わせる作業によって、かなり使えない材料が出てきてしまいます。
このように、壊れやすくもあり傷つきやすくもあり、模様の方向にも拘りが必要になってくるのが大理石なので、相対的に値段も高くなっていくわけです。
ちなみに大理石は酸にめっぽう弱く、塩酸をかけると溶けます。
柔らかい上にこれですから用途としては雨風が当たらない室内が主になります。
硬質で耐久性のある御影石、デリケートだが美しい大理石というイメージを持って頂けると良いと思います。
PS:大理石が高いといっても、実は御影石のうちでも上級に属するものの方が高価なのですが・・・。